相続税がかかる人・かからない人の違いとは?
相続税ボーダーラインとは何かを理解する
相続税ボーダーラインの基本イメージ
「相続税はお金持ちだけの話」と思われがちですが、相続税ボーダーラインを超えると、一般的なご家庭でも相続税がかかる人に該当する可能性があります。相続税は、亡くなった方の財産から一定の控除額を差し引いた残りに対して課税される仕組みで、自宅や土地、預貯金、保険金、株式、さらには中小企業の自社株までが対象です。特に北海道のように土地が広く、自宅の敷地も比較的大きいエリアでは、評価額が思ったより高くなり、結果として相続税ボーダーラインを超えてしまう例が少なくありません。まずは「うちは相続税がかかる人なのか、かからない人なのか」を判断するための物差しとして、相続税ボーダーラインという考え方を押さえておきましょう。
中小企業オーナーにとっての相続税ボーダーライン
中小企業オーナーにとって、相続税ボーダーラインは個人の資産だけでなく、会社の将来にも深く関わるテーマです。自社株の評価額が高いと、相続税がかかる人になるだけでなく、後継者にとっての納税負担が重くなり、事業承継や資金繰りにも影響します。銀行融資の審査では、オーナー個人の資産状況も見られるため、相続税ボーダーラインと決算対策は切り離せません。日頃から税務顧問の税理士と情報を共有し、相続税ボーダーラインを意識した事業承継と経営計画を進めることが、札幌や北海道の中小企業にとって重要なリスク管理につながります。
計算式でわかる相続税ボーダーライン
基礎控除額の計算式「3,000万円+600万円×法定相続人」
相続税がかかる人かどうかの判断材料になるのが「基礎控除額」です。計算式はシンプルで、基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数という形になっています。例えば、配偶者と子ども2人が相続人の場合は、法定相続人が3人なので「3,000万円+600万円×3=4,800万円」が相続税ボーダーラインの目安です。相続税ボーダーラインを超えるほどの遺産総額があれば、原則として相続税がかかる人になる可能性が高くなります。実際の申告ではここから債務や葬儀費用を差し引き、小規模宅地等の特例や生命保険の非課税枠なども考慮しますが、セルフチェックの段階ではまずこの計算式で相続税ボーダーラインを確認しておくとよいでしょう。
家族構成別の相続税ボーダーライン早見表
読者が自分のケースに当てはめやすいように、法定相続人の人数別に相続税ボーダーラインの目安を整理しておきます。法定相続人1人なら基礎控除額は3,600万円、2人なら4,200万円、3人なら4,800万円というように、人数が1人増えるごとに600万円ずつ相続税ボーダーラインが上がるイメージです。具体的には、配偶者のみの場合は3,600万円、配偶者と子ども1人なら4,200万円、配偶者と子ども2人なら4,800万円がボーダーラインになります。この数字と、ざっくり計算した遺産総額を比べるだけでも、自分が相続税がかかる人なのかどうかを大まかに把握することができます。ただし、代襲相続や認知した子など、法定相続人の数え方が複雑になるケースもあるため、迷った場合は早めに税理士へ確認することが大切です。
セルフチェックの具体的な手順
家族構成と資産を一覧にして棚卸しする
相続税ボーダーラインをセルフチェックする第一歩は、家族構成と資産の棚卸しです。まず、配偶者や子ども、両親など、法定相続人に該当しそうな家族を書き出し、相続が起きたときに誰が相続人になるか整理します。そのうえで、自宅や土地、アパートなどの不動産、預貯金や株式、投資信託、生命保険金など、主な資産項目と概算金額を一覧にしていきます。完璧な数字でなくても構いませんが、「自宅はおおよそいくらぐらいか」「預貯金の合計はいくらか」といったレベルでも十分に相続税ボーダーラインとの比較ができます。紙でもExcelでもよいので、まずは可視化することで、相続税がかかる人かどうかのイメージがつかみやすくなります。
不動産・金融資産・事業用資産に分けて整理する
次のステップでは、資産を性質ごとに三つのカテゴリーに分けてみましょう。自宅や土地などの不動産、預貯金や有価証券などの金融資産、そして中小企業オーナーであれば自社株や事業用資産という分類です。不動産は固定資産税の納税通知書や路線価、公的な地価情報などを参考にしながら、ざっくりと評価額を見積もります。金融資産は通帳や証券会社の残高報告書を見ながら合計し、事業用資産については決算書や貸借対照表を使って把握します。このように整理することで、「不動産の比率が高くて相続税ボーダーラインを超えやすい」「自社株の評価が大きなポイントになっている」といった特徴が見えてきます。
北海道・札幌の不動産と相続税ボーダーライン
地価の違いが相続税ボーダーラインに与える影響
北海道はエリアによって地価の差が大きく、同じ面積でも札幌中心部と地方都市では評価額にかなりの違いが出ます。札幌市内の人気エリアでは土地の評価額が高くなりやすく、相続税ボーダーラインを超える要因になりやすい一方、地方部では地価は抑えられているものの、広い土地を複数所有しているケースが多く、合計すると相続税がかかる人になってしまうこともあります。路線価は国税庁のサイトで確認できるので、相続税ボーダーラインをセルフチェックする際の参考資料として活用しましょう。
(参考:国税庁 路線価図: https://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm )
自宅・アパートを持つ中小企業オーナーの注意点
札幌をはじめ北海道全域で中小企業を経営しているオーナーは、自宅のほかにアパートや店舗、倉庫などの不動産を複数所有していることが少なくありません。これらの不動産は、銀行融資の担保として重要な役割を果たす一方で、評価額がそのまま相続税ボーダーラインを押し上げる要因にもなります。相続税がかかる人になるかどうかは、自宅だけではなく事業用不動産を含めたトータルの評価で決まるため、「経営のための資産」と「家族に承継する資産」を切り分けて考える視点が欠かせません。事業承継と合わせて不動産の持ち方を見直すことで、相続税ボーダーラインをコントロールしやすくなり、将来の資金繰りや銀行融資への悪影響を抑えることにもつながります。
中小企業オーナーの事業承継とボーダーライン
自社株評価が相続税ボーダーラインに与えるインパクト
中小企業オーナーにとって、相続税ボーダーラインを語るうえで欠かせないのが自社株評価です。利益が出ていて内部留保が蓄積している会社ほど、株価の評価額は高くなる傾向にあり、その結果として相続税がかかる人に分類されやすくなります。自社株の評価は、会社の規模や業種、資産構成によって計算方法が変わる専門性の高い分野で、自分で正確に見積もることは簡単ではありません。だからこそ、事業承継を意識するタイミングで税務顧問税理士に相談し、相続税ボーダーラインを前提にした株式移転や持株会社の活用など、長期的なスキームを検討することが重要です。
事業承継・銀行融資・資金繰りをセットで考える
事業承継は単に株式を次世代に渡すイベントではなく、銀行融資や資金繰りに直結する経営課題でもあります。後継者が多額の相続税を負担することになれば、手元資金が減り、銀行との付き合い方にも影響が出るかもしれません。そのため、相続税ボーダーラインを意識しながら、株式の移転時期や配当方針、借入金の整理などを組み合わせて、無理のない承継計画を描くことが求められます。中小企業では、決算対策と事業承継、相続税ボーダーライン対策をワンセットで考え、税務顧問税理士と金融機関が連携してサポートする体制をつくることが、会社と家族を守るうえで大きな安心材料になるでしょう。
生前対策と決算対策でできること
生前贈与・保険で相続税ボーダーラインを調整する
「このままだと相続税ボーダーラインを超えそうだ」と分かった場合の代表的な打ち手が、生前贈与や生命保険の活用です。毎年少しずつ贈与を行えば、将来の遺産総額を抑え、結果として相続税がかかる人から外れる可能性も生まれます。また、生命保険には一定額までの非課税枠があるため、受け取り方を工夫することで、相続税ボーダーラインを意識しながら納税資金を確保することもできます。ただし、過度な贈与は老後の生活資金を圧迫し、保険も加入のタイミングによってはコストが大きくなるため、税理士と相談しながら無理のない範囲で進めることが重要です。
決算対策と税務顧問の活用で中長期の視点を持つ
中小企業オーナーの場合、毎期の決算内容がそのまま自社株評価に影響し、最終的には相続税ボーダーラインにも跳ね返ってきます。利益を出して会社を強くすることは大切ですが、一方で内部留保が増えすぎると相続税がかかる人になりやすくなるというジレンマもあります。そこで、税務顧問税理士と相談しながら、役員退職金の準備や設備投資、福利厚生の充実など、将来の事業承継や相続を見据えた決算対策を行うことが有効です。単年度の節税だけではなく、5年先・10年先の相続税ボーダーラインを意識した経営を行うことで、会社の成長と家族の安心を両立しやすくなります。
まとめ
相続税ボーダーライン診断
前田泰則税理士事務所では、道内各地のご家庭や中小企業オーナーの相続税ボーダーライン診断を行っています。事前に家族構成や資産一覧を共有いただければ、一緒に基礎控除額を計算し、「相続税がかかる人かどうか」「生前にどの程度の対策を検討すべきか」といったポイントを整理することが可能です。札幌をはじめ北海道全域で支援しており、遠方で来所が難しい方でも、オンライン面談とメールのやり取りでスムーズに相談を進められます。相続税ボーダーラインに不安がある方は、まずは現状の棚卸しから一緒に始めてみましょう。
まずはお気軽に無料相談にてお話を聞かせてください
前田泰則税理士事務所では、相続税ボーダーラインの簡易診断から本格的な相続税対策・事業承継・決算対策まで、札幌・北海道全域対応でサポートしています。
「うちは相続税がかかる人なのか知りたい」「中小企業オーナーとして自社株評価や銀行融資、資金繰りが不安」という方は、ぜひ一度、お気軽に無料相談にてお話を聞かせてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案についての税務判断や将来の税制改正等を保証するものではありません。最終的な判断は、必ず税理士等の専門家による個別相談のうえで行ってください。
