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新年度に見直したい月次試算表の読み方

新年度に見直したい月次試算表の読み方というタイトル文字の下、資金繰り表の上に電卓とペンを持つ手が置かれたイメージ画像

「数字は苦手だから、試算表は税理士から届いたら一応見るだけ」
「忙しくて、利益や資金繰りの判断がいつも遅れる」

そんな悩みを抱える経営者の方は少なくありません。ですが今は、物価高、人手不足、価格転嫁の難しさに加え、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応も重なり、月次試算表を“ただ受け取るだけ”の会社と、“経営判断に使う会社”の差が広がりやすい局面です。2025年版中小企業白書でも、経営計画、価格転嫁、設備投資、デジタル化による生産性向上の重要性が示されています。だからこそ新年度は、月次試算表の見方を整え、売上・利益・資金繰りを毎月確認する習慣をつくる絶好のタイミングです。

なぜ今、月次試算表がこれまで以上に重要なのか

数字を見ないリスクが、以前より大きくなっている

札幌市の最新の企業経営動向調査では、経営上の問題点として「諸経費の増加」「仕入価格の上昇」「人手不足」が上位に挙がり、物価高騰によるマイナス影響ありと答えた企業は96.5%、価格転嫁が思うようにできていない企業は77.9%でした。つまり今は、売上だけを見て安心できる環境ではなく、粗利率の低下や固定費増を月次でつかむ力がそのまま経営スピードに直結します。(参考: 札幌市

事務負担が増えた時代ほど、月次管理が武器になる

インボイス制度では、原則として適格請求書の保存が仕入税額控除の前提です。また、電子帳簿保存法では、メール添付やクラウド受領の請求書・領収書はデータでの保存が原則で、紙に印刷して保存するだけでは足りません。つまり、請求書を受け取って終わりではなく、記載事項の確認・保存・検索できる状態まで整えることが月次決算の質を左右します。(参考: 国税庁 国税庁

月次試算表を活用するメリット比較表

項目月次試算表を活用している会社月次試算表を活用していない会社
売上管理前年同月比・前月比・計画比で異変を早く把握売上総額だけ見て原因分析が遅れやすい
利益管理粗利率や固定費の増減から対策が打てる「売上はあるのに利益が残らない」が起こりやすい
資金繰り納税・返済・賞与・設備投資の先読みがしやすい黒字でも資金不足に気づくのが遅れやすい
銀行対応月次数字を説明しやすく、融資相談が前向きに進みやすい試算表が遅れ、説明力が弱くなりやすい
補助金・支援策活用計画や数値根拠を示しやすく申請準備が進めやすい数字整理から始まり、申請機会を逃しやすい
経営判断値上げ・採用・投資・経費見直しの判断が速い感覚頼みになり、判断が後手に回りやすい

2025年版中小企業白書では、経営計画を策定している企業のほうが売上高や付加価値額の面で良い傾向が示されており、月次試算表はその計画を毎月点検する基礎資料として重要です。(参考: 中小企業庁

経営判断を早くする3つの視点

視点1 売上の動きを読む

月次試算表を見るとき、売上は総額だけでなく、商品別・部門別・得意先別の内訳まで確認したいところです。たとえば売上が前年並みでも、利益率の低い案件に偏っていれば、会社に残るお金は減ります。前年同月比、前月比、計画比を並べて見るだけでも、営業施策の修正が早くなります。

札幌・北海道の企業では、季節変動を織り込んで読むことが特に大切です。冬季は天候や交通の影響を受けやすく、業種によっては除排雪、暖房費、配送遅延、来店減などが数字に出やすくなります。一方で、札幌市の2025年度上期の来札観光客数は約961万1千人で前年同期比3.1%増、外国人宿泊者数は約94万1千人で17.2%増でした。観光・宿泊・飲食・小売などでは、「冬は厳しい」だけでなく、需要が伸びる月を取りこぼさない視点が必要です。(参考: 札幌市

視点2 利益の残り方を読む

売上が増えても、粗利率が下がれば経営は楽になりません。札幌市の調査では、売上高BSIが1.8である一方、経常利益BSIは▲10.3となっており、売上と利益が同じ方向に動かない実態が見えます。これは、仕入価格上昇や諸経費増加を十分に価格転嫁できていない会社が多いことと整合的です。(参考: 札幌市

だからこそ月次試算表では、売上高だけでなく、売上総利益、粗利率、販管費の増減を見ます。人件費、地代家賃、水道光熱費、外注費、広告費などを前年同月と比べるだけでも、利益を圧迫している要因が見えます。中小企業白書でも、物価・金利・人件費上昇のなかでは、単なるコスト削減だけでなく、適切な価格設定・価格転嫁と生産性向上が重要とされています。(参考: 中小企業庁

視点3 資金繰りの動きを読む

会計上は黒字でも、資金が足りない会社は少なくありません。売掛金の回収が遅い、在庫が増えている、借入返済が重い、納税資金を見落としているなど、原因はさまざまです。札幌市の調査でも、資金繰りについて「苦しい」と答えた企業が19.5%あり、楽観できる状況ではありません。(参考: 札幌市

月次試算表と合わせて、預金残高、売掛金・買掛金、借入返済予定、3〜6か月先の資金繰り表を見ると、判断は格段に早くなります。北海道全体でも企業倒産件数と負債総額は増加傾向にあり、負債総額は前年同月比で大きく増えています。資金繰りは「苦しくなってから相談」では遅く、月次で兆候をつかむのが基本です。(参考: 北海道庁

札幌・北海道の中小企業が特に押さえたい実務ポイント

季節変動を“異常値”と勘違いしない

北海道経済は「持ち直しの動きが続いている」とされる一方、個人消費には足踏み、雇用には弱さ、生産活動には弱い動きが見られます。つまり、全体が一律に良いわけではなく、業種ごとの差が大きい局面です。月次試算表でも、単月だけを見て悲観・楽観するのではなく、前年同月比や3か月平均で見る視点が重要です。(参考: 北海道庁

雪害対策・冬季コストは資金繰りに先回りする

札幌・北海道では、冬季の除排雪費、暖房費、修繕費、配送遅延対応、繁閑差の拡大が利益と資金繰りに影響しやすい地域特性があります。だからこそ、冬前の段階で月次試算表から固定費増を予測し、必要なら運転資金の準備や金融機関への相談を前倒しすることが大切です。札幌市は中小企業融資制度を設けており、用途に応じた資金調達メニューを案内しています。(参考: 札幌市

観光需要を取れる業種は、月次で“波”を読む

札幌は観光需要の回復が続いており、特に外国人宿泊者数の伸びが大きい状況です。宿泊・飲食・土産・交通・小売などでは、売上だけでなく、客単価、粗利率、繁忙月の人件費効率、在庫回転まで月次で追うことで、需要増を利益に変えやすくなります。(参考: 札幌市

インボイス制度・電帳法時代に、月次試算表の質を上げるコツ

請求書の確認を“税務処理”で終わらせない

インボイス制度では、適格請求書に登録番号、取引年月日、内容、税率ごとの対価額、消費税額などが記載されているかが重要です。月次試算表の精度を上げるには、「請求書を保存したか」だけでなく、「税区分まで正しく処理できているか」を毎月点検する必要があります。(参考: 国税庁

電子データ保存のルールを仕組み化する

電子帳簿保存法上、メール添付PDFやクラウド請求書はデータ保存が原則です。検索機能は取引年月日・金額・取引先で検索できることが基本で、一定の場合には要件が緩和されます。また、改ざん防止のためにタイムスタンプや履歴が残るシステム、または事務処理規程の整備が必要です。ここを曖昧にすると、経理担当者や社長の負担が増えるだけでなく、月次試算表の締まりも遅くなります。(参考: 国税庁

最新の補助金トレンドから見ても、月次管理は重要

トレンド1 バックオフィスDX・インボイス対応

中小企業庁のIT導入補助金2025では、インボイス対応類型として、会計・受発注・決済ソフトの導入費用に加え、クラウド利用料や導入支援費、保守費などが支援対象とされています。つまり、月次試算表を早く正確に出すための会計体制整備そのものが、政策的にも後押しされている流れです。(参考: 中小企業庁

トレンド2 人手不足対応の省力化投資

2025年版中小企業白書でも、人手不足への対応として設備投資やデジタル化の必要性が強調されています。人が足りないからこそ、社長や経理担当者が「手入力に追われる会社」から、「数字が自動で見える会社」に変える必要があります。(参考: 中小企業庁

トレンド3 新事業進出・地域支援の活用

中小企業新事業進出補助金は、新分野展開、事業転換、業態転換などの前向き投資を支援する制度です。また、札幌市はDX伴走支援や補助制度、融資制度を整え、北海道庁も経営相談、専門家派遣、事業承継、BCP、賃上げ環境整備などの支援策を案内しています。補助金や支援策を使いこなすにも、月次試算表で現状を説明できることが大前提です。(参考: 中小企業庁 札幌市 北海道庁

月次試算表チェックリスト

毎月の打ち合わせや社内確認では、次の項目をチェックすると実務に落とし込みやすくなります。

  • 売上高を前年同月比・前月比・計画比で確認したか
  • 粗利率の低下や原価上昇の原因を確認したか
  • 固定費の増加が一時的か、恒常的かを見分けたか
  • 預金残高と試算表の利益にズレがないか確認したか
  • 売掛金の回収遅れ、在庫増、借入返済の負担を確認したか
  • インボイスの記載事項や保存漏れがないか確認したか
  • 電子データの保存ルールが現場で運用できているか確認したか
  • 3〜6か月先の資金繰り見通しを更新したか
  • 値上げ、採用、投資、借入の判断を翌月に持ち越していないか確認したか

まとめ|月次試算表は「会計資料」ではなく「判断を早くする道具」

月次試算表で見るべき本質は、売上の動き、利益の残り方、資金繰りの動きの3つです。ここを毎月押さえるだけで、値上げ、人員配置、投資、銀行対応、決算対策の精度とスピードは大きく変わります。とくに札幌・北海道では、季節変動、冬季コスト、観光需要、物流や採用環境といった地域事情が経営数字に出やすいため、月次で見える化しておく意味がより大きいといえます。(参考: 北海道庁 札幌市

前田泰則税理士事務所では、札幌・北海道全域対応で、月次試算表の読み方、資金繰りの見える化、銀行融資、決算対策、事業承継まで含めて、数字を経営判断につなげるご支援を行っています。

  • 試算表は届いているけれど、読み方が分からない
  • 数字を見ているつもりでも、判断に活かせていない
  • 物価高や人手不足のなかで、どこから手を打つべきか整理したい

そのような方は、ぜひ一度ご相談ください。
“数字が苦手”でも大丈夫です。大切なのは、完璧に読むことではなく、毎月の数字から次の一手を決められる会社に変えることです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の税務・会計・経営判断は個別事情により異なります。最終判断は個別相談でご確認ください。

前田泰則のイメージ
所長
前田泰則
化学メーカー勤務中に税理士資格を取得し、独立。中小企業の税務顧問や銀行融資サポート、資金繰り改善の支援を中心に活動。相続診断士としての知見も活かし、「笑顔相続サロン北海道代表」として地域の事業承継・相続問題にも取り組む。また、農業経営コンサルタントとして道内の農業振興にも尽力。
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