2026年4月制度変更まとめ|確認したい雇用・税務・契約実務
明日2026年4月1日から、札幌・北海道の中小企業でも見過ごせない制度変更が動き出します。
雇用保険料率の改定、改正女性活躍推進法による公表義務の拡大、防衛特別法人税の適用開始、さらに2026年1月施行の取適法への実務対応まで、新年度は「人・お金・契約」を同時に点検すべき時期です。この記事では、4月制度変更の中でも経営判断に直結するポイントを、税理士目線でわかりやすく整理しました。給与設定、決算対策、銀行融資、事業承継まで、札幌の中小企業経営者が今すぐ確認したい実務をまとめてチェックできます。
まず確認したい|2026年4月制度変更の全体像
| 項目 | いつから | 中小企業への影響 | 最優先の実務 |
|---|---|---|---|
| 雇用保険料率 | 2026年4月1日 | 給与・賞与計算に直結 | 給与ソフト設定の更新 |
| 女性活躍推進法 | 2026年4月1日 | 101人以上300人以下の企業で公表義務拡大 | 公表データの算出準備 |
| 防衛特別法人税 | 2026年4月1日以後開始事業年度 | 法人税申告実務に影響 | 決算期ベースで対象判定 |
| 取適法 | 2026年1月1日施行済み | 発注・支払・価格協議に影響 | 新年度契約の棚卸し |
| 事業承継税制 | 2026年3月末時点で期限管理が重要 | 承継計画の可否に影響 | 直ちに窓口確認 |
なぜ4月制度変更の確認が経営判断に直結するのか
年度初日の設定ミスは、数字のズレを1年引きずる
4月制度変更は、1日だけ注意すれば終わる話ではありません。雇用保険料率の改定は毎月の給与と賞与に影響し、女性活躍推進法の改正は情報公表体制の整備が必要です。さらに、防衛特別法人税は「どの事業年度から対象になるか」の判定が欠かせず、取適法は契約書や支払条件の見直しとセットで考える必要があります。制度を知ることより、実務に落とし込むことが重要です。
札幌・北海道の中小企業ほど「人・金・契約」の同時整理が有効
新年度は採用、昇給、異動、契約更新、決算準備が重なりやすく、限られた人数で回している中小企業ほど抜け漏れが生まれやすい時期です。そこでおすすめなのが、
- 人:雇用・情報公表
- 金:税金・資金繰り
- 契約:発注・支払条件
の3区分で整理する方法です。税理士へ相談する場合も、この3区分で資料をそろえると話が早く進みます。
雇用保険料率|一般の事業は13.5/1,000に引下げ
2026年度の一般の事業の料率
厚生労働省によると、2026年4月1日から2027年3月31日までの雇用保険料率は、一般の事業で13.5/1,000です。内訳は、労働者負担5/1,000、事業主負担8.5/1,000。前年度の14.5/1,000から引き下げられます。 (厚生労働省 雇用保険料率)
比較表|雇用保険料率(一般の事業)
| 区分 | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|
| 労働者負担 | 5.5/1,000 | 5/1,000 |
| 事業主負担 | 9/1,000 | 8.5/1,000 |
| 合計 | 14.5/1,000 | 13.5/1,000 |
実務でやること
- 給与計算ソフト・勤怠連携の保険料設定を更新
- 4月支給給与、賞与計算ロジックを再確認
- 給与明細の控除額をテスト計算
- 資金繰り表や人件費予算も更新
注意
農林水産・清酒製造、建設の事業は料率が異なります。札幌・北海道でも業種によって適用率が違うため、一般の事業の率をそのまま当てはめない確認が必要です。( 厚生労働省 雇用保険料率 )
改正女性活躍推進法|101人以上300人以下の企業は「3項目以上」の公表へ
4月1日から何が変わるのか
2026年4月1日施行の改正女性活躍推進法により、常時雇用する労働者が101人以上300人以下の一般事業主は、従来より重い情報公表義務に対応する必要があります。今回のポイントは、「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」が必須化されたことです。( 厚生労働省 女性活躍推進法特集 / 厚生労働省 改正資料)
必須項目と追加項目
| 区分 | 2026年4月1日以後に必要な公表 |
|---|---|
| 必須1 | 男女間賃金差異 |
| 必須2 | 女性管理職比率 |
| 追加 | 「職業生活に関する機会の提供に関する実績」または「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」から1項目以上 |
つまり、101人以上300人以下の企業は、合計3項目以上の公表が必要です。100人以下の企業は努力義務です。(厚生労働省 改正資料 )
男女間賃金差異は3区分で公表
男女間賃金差異は、次の3区分で算出・公表します。
- 全ての労働者
- 正規雇用労働者
- パート・有期社員(非正規雇用労働者)
この点は、単に「会社全体の1つの数字」を出せばよいわけではないため注意が必要です。公表先としては、厚生労働省の女性の活躍推進企業データベースの活用が案内されています。( 厚生労働省 女性活躍推進法に基づく男女間賃金差異の情報公表 / 女性の活躍推進企業データベース )
札幌の中堅企業が今やるべきこと
- 101人以上300人以下に該当するか確認
- 管理職の定義を社内で統一
- 賃金差異の3区分集計を先行実施
- 公表項目を1つ追加選定
- 人事・労務・経営層の確認ルートを作る
防衛特別法人税|「自社はいつから対象か」の判定が最重要
適用開始は「2026年4月1日以後に開始する事業年度」
国税庁によると、防衛特別法人税は、2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。したがって、重要なのは「4月1日以後に決算を迎えるか」ではなく、その事業年度の開始日がいつかです。たとえば3月決算法人なら、2025年4月1日開始・2026年3月31日終了の事業年度は対象外で、次の2026年4月1日開始事業年度から対象になります。( 国税庁 防衛特別法人税 )
税額の考え方
防衛特別法人税額は、一定の税額控除を適用しないで計算した法人税額から年500万円を控除した金額に4%を乗じて計算します。( 国税庁 防衛特別法人税 )
申告は0円でも必要なケースがある
各事業年度の所得に対する法人税を課される法人は、防衛特別法人税の納税義務者とされ、防衛特別法人税額が0円でも申告が必要とされています。申告書は法人税・地方法人税の申告書と一体様式ですが、別葉の記載漏れに注意が必要です。( 国税庁 防衛特別法人税 / 国税庁 申告書様式 )
実務チェック
- 自社の事業年度開始日を確認
- 法人税額ベースで試算
- 別表の追加有無を申告体制に反映
- 月次で着地利益と納税予測を更新
決算対策や銀行融資資料の精度を上げたい企業は、税務顧問と一緒に早めに試算しておくと安全です。
取適法|4月の契約見直しで必ず確認したい
下請法は2026年1月1日から「取適法」に
下請法は、2026年1月1日施行の改正で、正式には「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」、通称中小受託取引適正化法(取適法)に変わりました。4月制度変更として捉えるというより、新年度契約で実務を見直すべき既施行改正です。( 公正取引委員会 取適法 )
主な改正点
| 改正ポイント | 内容 |
|---|---|
| 名称変更 | 下請法 → 中小受託取引適正化法(取適法) |
| 適用基準拡大 | 資本金基準に加え、従業員基準(300人・100人)を追加 |
| 対象取引追加 | 特定運送委託を追加 |
| 禁止行為追加 | 協議に応じない一方的な代金決定を禁止 |
| 支払手段規制 | 手形払を禁止、電子記録債権等も満額回収困難なものはNG |
( 公正取引委員会 リーフレット / 公正取引委員会 取適法 )
発注・支払実務で押さえたい点
取適法では、委託事業者に対し、発注内容の明示、記録の保存、支払期日の設定、遅延利息の支払義務が課されています。支払期日は、受領日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に定める必要があります。( 公正取引委員会 リーフレット )
4月に見直したいチェックリスト
- [ ] 発注書の記載事項は十分か
- [ ] 支払方法に手形が残っていないか
- [ ] 電子記録債権等の条件は不利でないか
- [ ] 価格改定時の協議記録を残しているか
- [ ] 振込手数料の負担を一方的に押し付けていないか
公正取引委員会は、現金払へ変更する際の一方的な割引料控除や、振込手数料相当額を一方的に差し引いた代金決定について、買いたたきや「協議に応じない一方的な代金決定」に該当し得ると注意喚起しています。( 公正取引委員会 留意事項 )
事業承継税制|3月末時点の期限確認が必要
中小企業庁・国税庁の公開ページでは「2026年3月31日まで」
法人版事業承継税制の特例措置については、中小企業庁の制度ページと申請手続ページ、さらに国税庁の税務解説ページで、特例承継計画の提出期限は2026年3月31日までと案内されています。提出には、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けたうえで、都道府県への提出が必要です。( 中小企業庁 法人版事業承継税制(特例措置) / 中小企業庁 申請手続 / 国税庁 タックスアンサー No.4148 )
ただし、2026年度税制改正資料には「期限延長等」の記載もある
一方で、経済産業省の令和8年度 経済産業関係税制改正の資料には、事業承継税制に係る特例承継計画の期限延長等との記載が確認できます。公開ページ間で更新差が見られるため、利用予定がある場合は「まだ余裕がある」と判断せず、都道府県窓口・認定支援機関へ至急確認するのが安全です。( 経済産業省 令和8年度 経済産業関係税制改正について )
経営者が4月初週に実行したい実務チェックリスト
人・金・契約で整理する
人
- [ ] 雇用保険料率を更新した
- [ ] 従業員数101人以上300人以下か確認した
- [ ] 女性活躍推進法の公表項目を決めた
金
- [ ] 防衛特別法人税の対象年度を判定した
- [ ] 納税予測に反映した
- [ ] 試算表・資金繰り表を更新した
契約
- [ ] 取適法に沿って発注書を見直した
- [ ] 支払方法と支払期日を確認した
- [ ] 価格協議の記録ルールを決めた
札幌の中小企業が税理士に早めに相談したい理由
4月制度変更は、労務・税務・契約実務が横断的につながっています。給与だけ、税金だけ、契約だけで切り分けると抜けが出やすいため、税務顧問を軸に全体を整理するのが効率的です。特に、銀行融資や資金繰りまで見据える企業は、年度初めの数字の整え方がその後の説明力に直結します。札幌・北海道で中小企業支援を受けるなら、税務顧問、銀行融資支援、事業承継サポートをつなげて相談できる体制が有効です。
まとめ|4月制度変更は「早さ」より「抜け漏れのなさ」
2026年4月1日からの制度変更で、まず押さえたいのは、雇用保険料率、改正女性活躍推進法、防衛特別法人税です。加えて、すでに施行されている取適法も、新年度契約の確認項目として外せません。さらに、事業承継税制は制度利用の有無によって緊急性が高く、期限情報の再確認が必要です。明日からの新年度を落ち着いて迎えるためにも、今日のうちに「人・金・契約」の3分野で棚卸ししておきましょう。
お気軽にご相談ください
4月の制度変更は、早めに整理するほど実務負担を減らせます。前田泰則税理士事務所では、札幌・北海道全域対応で、税務顧問、決算対策、銀行融資、資金繰り、事業承継まで一体でご相談を承っています。
【無料相談受付中】お気軽にお問い合わせください。
※本投稿は一般的な情報です。実際の適用は会社規模・業種・決算期等で異なります。最終判断は個別相談で承ります。
