札幌で税理士をお探しなら前田泰則税理士事務所

日本政策金融公庫の創業融資を通す事業計画の作り方と審査ポイント

明るいオフィスで若い起業家がスーツ姿の担当者に事業計画書のグラフを説明している様子

創業のタイミングで最初の関門となるのが、日本政策金融公庫の創業融資に必要な事業計画です。
「テンプレートに埋めたけれど、この内容で本当に通るのか不安」「銀行融資も視野に入れているが、資金繰りの数字に自信がない」といったご相談を数多くいただきます。

日本政策金融公庫の審査では、単に数字が整っているだけではなく、ビジネスモデル・市場・資金繰りの一貫性がチェックされます。本記事では、税理士として創業融資 事業計画の作成を支援してきた立場から、審査のポイントと事業計画の考え方をわかりやすく整理します。

創業融資において事業計画が重要視される理由

事業計画が「信用」の代わりになる

創業期は決算書も実績もなく、金融機関は数字で評価できません。そのため日本政策金融公庫は、事業計画を「信用情報の代替」として重視します。市場分析、競合との差別化、売上・経費・資金繰りの見通しをきちんと説明できているかが、中小企業や個人事業主の将来性を判断する材料となるのです。ここで曖昧な数字や根拠のない売上予測が並んでいると、銀行融資に進む際にもマイナス評価になりかねません。

数字よりも「一貫したストーリー」が大事

審査担当者が見ているのは、単なる資金繰り表ではなくストーリーの一貫性です。なぜこの地域(札幌・北海道)で開業するのか、どの顧客をターゲットに、どのような商品・サービスを提供するのか。その結果として妥当な売上・粗利・経費が積み上がっているかが、創業融資における「事業計画の要」です。数字とストーリーが噛み合っていれば、多少の数字のブレがあっても審査では十分評価されます。

日本政策金融公庫の創業融資の基本

融資制度の特徴と民間銀行との違い

日本政策金融公庫の創業融資は、民間の銀行融資よりも実績の少ない創業期に特化した制度が整っています。自己資金が少ない中小企業・個人事業主でもチャレンジしやすいように、無担保・無保証人の制度が用意されているケースもあります。一方で、返済原資の裏付けとなる事業計画には詳細な説明が求められます。将来、銀行融資へステップアップするための「最初の信用づくり」と考えることも大切です。

審査の基本的な流れと必要書類

創業融資の申請は、事前相談→申込書類提出→面談→審査→結果通知という流れが一般的です。必要書類としては、創業計画書(事業計画)、見積書、資金繰り表、自己資金の根拠資料、場合によっては税理士が作成・確認した試算表などが求められます。特に創業計画書と資金繰り表は、あとから書き直すと全体の辻褄が合わなくなることも多いため、最初の設計段階で税務顧問となる税理士に相談しておくとスムーズです。

審査で見られる事業計画の主要ポイント

市場・競合分析とターゲット設定

日本政策金融公庫の審査では、ターゲット市場の規模や競合状況の理解度がチェックされます。例えば、札幌市内で飲食店を開業する場合、「近隣にどのような競合があり、自店はどのポジションを狙うのか」を説明できなければ、事業計画としては弱いと判断されます。「誰に・何を・いくらで・どのように届けるのか」を明確に言語化し、それに沿った売上・客数の想定を組み立てることが重要です。

売上予測の根拠とシナリオの妥当性

売上予測は、審査で特に厳しく見られる項目です。「月商300万円を目指す」と書くだけではなく、席数や客単価、客数、稼働日数などに分解し、現実的な前提に基づいた数字かを説明できるようにしておきましょう。悲観・標準・楽観など複数のシナリオを用意しておくと、事業計画として説得力が増し、資金繰りに余裕を持たせた借入額の検討にもつながります。

売上・利益計画の立て方とチェックポイント

粗利と固定費のバランスを数字で示す

事業計画では、売上だけでなく粗利と固定費のバランスをしっかり示す必要があります。例えば中小企業の小売業であれば、原価率・粗利率を明示し、家賃・人件費・広告費などの固定費をカバーできるかどうかを月次ベースで確認します。ここで赤字が続く期間が長いと、返済原資が不足すると判断されます。早期に黒字転換するシナリオと、多少時間がかかった場合の備えを、検証しておくと安心です。

決算対策まで見据えた利益計画

創業時から決算対策を意識した利益計画を立てることも、長期的な視点では欠かせません。日本政策金融公庫の創業融資で借入を行った後は、毎期の決算内容が次の銀行融資や追加融資の審査材料になります。過度な節税だけを追求すると、自己資本が積み上がらず、結果として銀行融資が受けにくくなることも。創業融資 事業計画の段階から、将来の決算対策・事業承継までを視野に入れた利益配分を検討しておくことが、中小企業にとっても重要なポイントです。

資金繰り表と銀行融資との関係

運転資金・設備資金を分けて考える

資金繰りが苦しくなる多くの原因は、運転資金と設備資金を混同してしまうことにあります。事業計画では、初期の内装・機器などの設備資金と、開業後数か月〜1年分の運転資金を分けて記載しましょう。特に売上入金サイトが長い業種では、資金繰り表の作り込みが甘いとすぐに資金ショートのリスクが高まります。日本政策金融公庫だけでなく、将来的な銀行融資も見据えた資金繰り表を作ることが大切です。

金融機関ごとの役割と付き合い方

日本政策金融公庫と民間銀行・信用金庫・信用組合では、それぞれ役割が異なります。創業初期は日本政策金融公庫を中心に、事業が軌道に乗ってきた段階で銀行融資を拡大するなど、金融機関ごとの強みを活かした付き合い方が重要です。創業融資の段階で、どのタイミングでどの金融機関にアプローチするかのロードマップを考えておくと、将来の資金繰り戦略が立てやすくなります。詳しくは、下記の記事を参考にしてみてください。

関連記事
資金繰り改善のためのキャッシュフロー管理術
資金繰り改善のためのキャッシュフロー管理術

創業者の人物評価と税理士のサポート活用

経験・資格・ネットワークの整理

審査では、事業計画だけでなく創業者本人の経験・資格・人脈も重要な評価軸となります。前職での実績、業界経験、保有資格、取引先候補との関係性などを、事業計画の中で整理して示しましょう。「この人ならやり切ってくれそうだ」と感じてもらえるストーリーづくりがポイントです。地場のネットワークや既存顧客との関係も強みとしてアピールできます。

税理士がサポートするメリット

事業計画の作成に、税務顧問となる税理士が関与しているかは、審査でプラス評価となることがあります。数字の裏付けがしっかりしているだけでなく、今後の記帳・決算対策・事業承継まで継続的にサポートを受けられると判断されるためです。

日本政策金融公庫の面談対策

面談でよく聞かれる質問と答え方

面談では、「なぜこの事業なのか」「なぜ今創業するのか」「資金繰りが悪化したときの対応策は」などがよく聞かれます。事業計画の内容をそのまま暗記するのではなく、自分の言葉で説明できる状態にしておくことが重要です。数字について聞かれた際には、「売上は客数×客単価×稼働日数でこう考えています」といった形で、前提条件から丁寧に説明できるよう準備しておきましょう。

ネガティブ情報の伝え方とリスク説明

過去の借入やクレジットカード延滞など、ネガティブな情報を隠すことは逆効果です。事業計画の中で触れにくい内容も、面談では経緯と改善に向けた具体策をセットで説明することで、むしろ信頼につながるケースもあります。また、売上が計画どおりにいかなかった場合の資金繰り対策(固定費の削減、追加の銀行融資の可能性、家族からの支援など)をあらかじめ整理しておくと、日本政策金融公庫の担当者も安心して判断できます。

まとめ

創業後も続く資金繰り・銀行融資サポート

創業融資はスタートに過ぎません。事業を継続・成長させるためには、継続的な資金繰り管理と銀行融資戦略が欠かせません。前田泰則税理士事務所では、月次の試算表を活用しながら、金融機関に評価される決算書づくりや、将来の事業承継を見据えた資本政策のアドバイスも行います。創業融資の段階から長期的な視点で関わることで、札幌をはじめ北海道全域で支援する“伴走パートナー”として中小企業の成長をサポートしています。

無料相談のご案内

日本政策金融公庫の創業融資の事業計画の作成や、資金繰り・銀行融資・決算対策・事業承継でお悩みの方は、札幌・北海道全域対応の前田泰則税理士事務所へご相談ください。創業前のアイデア段階からでも、数字の整理や事業計画のブラッシュアップを丁寧にサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件に対する助言ではありません。最終的な判断・実行にあたっては、必ず専門家との個別相談を行ってください。

前田泰則のイメージ
所長
前田泰則
化学メーカー勤務中に税理士資格を取得し、独立。中小企業の税務顧問や銀行融資サポート、資金繰り改善の支援を中心に活動。相続診断士としての知見も活かし、「笑顔相続サロン北海道代表」として地域の事業承継・相続問題にも取り組む。また、農業経営コンサルタントとして道内の農業振興にも尽力。
COLUMN

経営コラム

View All
PAGE TOP