札幌で税理士をお探しなら前田泰則税理士事務所

資金繰りと銀行融資に強くなる年末決算整理とは

決算報告書とグラフ資料を確認するための決算書類一式

年末決算整理とは何かを押さえる

年末は、単に数字を締めるだけでなく、年末決算整理を通じて自社の1年を振り返る大切なタイミングです。特に中小企業では、日々の実務に追われて「とりあえず決算が終わればいい」という発想になりがちですが、年末決算整理を丁寧に行うことで、税務顧問との打ち合わせがスムーズになり、銀行融資の評価や今後の資金繰りにも直結します。ここでは、中小企業が押さえておきたい基本とチェックリストの活用法を整理します。

年末決算整理の目的を再確認する

年末決算整理の目的は、①会計数字を正しく整えること、②税負担を適正にすること、③来期以降の経営判断に役立つデータを作ることの3つです。特に中小企業では、税理士にすべて丸投げするのではなく、社内でもチェックリストを使って仕訳・残高・証憑を確認することが重要になります。正しい年末決算整理ができている企業ほど、銀行融資の審査で説明がしやすく、資金繰り計画の見通しも立てやすくなるため、単なる「作業」ではなく、経営の一部として位置付けましょう。

年末決算整理をスケジュール化する

年末決算整理を成功させるには、「いつ・誰が・何をやるか」を明確にしたスケジュール作りが欠かせません。月次決算の締め日から逆算し、売上・仕入・経費・在庫・固定資産・賞与など、項目ごとに期限を設定します。そのうえで、税務顧問や税理士との打ち合わせ日も早めに押さえておきましょう。札幌や北海道の企業では雪や天候による移動リスクもあるため、オンライン面談も併用しながらムリのない年末決算整理の工程表を作ることが大切です。

売上・仕入の計上漏れをチェックする

売上の計上タイミングを統一する

年末決算整理の第一歩は、売上の計上漏れと計上基準のブレをなくすことです。請求書発行日ベースなのか、納品日ベースなのか、社内でルールを決めて運用できているかを確認します。特に12月末前後は、納品日と請求日がまたがりやすく、決算対策としても注意が必要です。ルールがあいまいなままだと、税務調査の際に指摘を受けるリスクが高まりますので、税務顧問や税理士と相談しながら、自社に合う基準を決めておきましょう。

仕入・外注費との対応関係を確認する

売上だけでなく、仕入や外注費も年末決算整理で重要なチェックポイントです。売上に対応する原価が同じ年度に入っているか、未着の請求書がないかをリストアップして確認します。特に建設業やIT開発など、長期にわたるプロジェクト型の中小企業では、検収のタイミングや出来高管理が複雑になりがちです。銀行融資を受ける際にも、売上と原価の対応がきれいな決算書は評価されやすいため、ここでの確認は資金繰り面でもメリットがあります。

経費・未払費用・賞与の整理

経費の漏れと私的支出を仕分けする

年末決算整理では、経費の漏れとともに、私的な支出が混ざっていないかもチェックしましょう。クレジットカード明細や電子マネー決済、ネットサービス利用料などは、プライベート分が混在しやすい項目です。ここを曖昧にしたままにすると、税務調査で否認される可能性があり、結果として税負担が増え、資金繰りを圧迫しかねません。中小企業の経営者ほど、税務顧問・税理士と相談しながら、線引きを明確にしておくことが重要です。

賞与・未払費用・社会保険の計上を確認する

年末に計上すべき賞与や未払費用、社会保険料の扱いも年末決算整理の大切なポイントです。支給日や支払日が翌期になるものでも、当期の費用として計上できるケースがありますが、そのためには就業規則や支給決定の証拠が必要です。こうした処理は、決算対策として節税にもつながる部分なので、銀行融資や事業計画を意識しながら、無理のない範囲で活用しましょう。

在庫・固定資産の見直しで財務体質を整える

在庫棚卸しでムダな資金拘束を把握する

商品・原材料・仕掛品などの在庫は、年末決算整理において必ず見直したい項目です。在庫が過大なままだと、帳簿上の利益が圧縮される一方で、現金が在庫に寝てしまい、資金繰りを悪化させる要因にもなります。札幌や北海道の中小企業では、季節商品や地域特有の商品構成も多いため、不良在庫や滞留在庫を棚卸しで洗い出し、処分や値下げの方針を決めましょう。これにより、銀行融資の面談でも、在庫管理の改善策を説明しやすくなります。

固定資産・減価償却の状況をチェックする

機械設備や車両、パソコンなどの固定資産も年末決算整理での重要なチェック対象です。すでに使用していない資産が帳簿に残っていないか、耐用年数や減価償却方法が適切かを確認します。固定資産台帳と実物を突き合わせることで、税務調査のリスクを下げる効果もあります。また、今後の投資計画や銀行融資の相談を行う際にも、現状の設備構成が整理されていると、設備更新のシミュレーションがしやすくなります。

資金繰りと銀行融資を意識した年末決算整理

キャッシュフローを把握して来期の資金繰り表を作る

年末決算整理は、数字を締めるだけでなく、翌期の資金繰りを考えるきっかけにもなります。売上計画・経費計画・借入金返済予定をもとに、少なくとも1年間の資金繰り表を作成し、現金残高の推移を確認しましょう。中小企業の経営では、利益が出ていても資金繰りが厳しい場面は多くあります。税務顧問や税理士と一緒に、キャッシュフローの視点で年末決算整理を行うことで、急な支払いに備えた安全余裕額も見えてきます。

銀行融資に強い決算書を意識して整理する

銀行は決算書をもとに企業の信用力を判断します。年末決算整理の段階で、自己資本比率や借入金依存度、利益水準など、銀行が重視する指標を意識しておくことが大切です。たとえば、売掛金や在庫の回収・圧縮が進んでいるか、短期借入金に頼りすぎていないかなどをチェックします。こうした視点は単なる決算対策ではなく、中長期の経営戦略にもつながります。

役員報酬・税金・決算対策を一体で考える

役員報酬と利益水準のバランスを見直す

オーナー社長が多い中小企業では、役員報酬の設定が年末決算整理の重要テーマになります。役員報酬が高すぎると会社の利益が残らず、銀行融資の評価が下がる一方で、低すぎると個人の生活資金や将来の資産形成に不安が残ります。札幌や北海道の経営者でも、このバランスに悩む方は多く、税理士とシミュレーションしながら、法人・個人トータルでの最適な配分を検討することが大切です。

税金の支払い時期と資金繰りを事前に確認する

法人税・消費税・道税・市税など、税金の支払い時期を把握することも年末決算整理の重要な役割です。納付時期を一覧にまとめ、資金繰り表に反映することで、支払直前になって慌てるリスクを減らせます。また、中小企業庁の補助金・支援策(https://www.chusho.meti.go.jp/)や、北海道庁(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/)、札幌市(https://www.city.sapporo.jp/)の制度も確認し、資金繰り支援策が使えないか検討しましょう。

事業承継と次年度計画につなげる年末決算整理

年末決算整理を事業承継の入り口にする

年末決算整理で数字を整理していくと、事業の強み・弱みや、経営者の属人的な業務が見えてきます。これらはそのまま事業承継の論点となるため、後継者候補がいる場合は、決算書やチェックリストを一緒に見ながら説明する場を設けると良いでしょう。中小企業の事業承継は時間がかかるため、年末決算整理のタイミングで少しずつ情報共有を進めておくことが、スムーズなバトンタッチにつながります。

次年度の売上・投資・人員計画を整理する

年末決算整理で確定した数字をもとに、次年度の売上目標・投資計画・人員計画を具体化していきます。単に前年対比で数字を決めるのではなく、銀行融資の予定や資金繰りの余裕度、事業承継のスケジュールなども踏まえて、無理のない計画に落とし込みましょう。

税務顧問・税理士の活用

税務顧問を年末決算整理のパートナーにする

年末決算整理を社内だけで完結させるのは難しく、専門家の視点が入ることで精度が一気に高まります。税務顧問や税理士には、単なる申告書作成ではなく、資金繰り・銀行融資・事業承継まで含めた総合的な相談を行いましょう。月次決算の段階から相談しておくと、年末に慌てずに済み、結果としてより良い決算対策にもつながります。

お気軽にご相談ください

年末決算整理チェックリストの作成や、自社に合った決算対策・資金繰りのご相談は、札幌・北海道全域対応の前田泰則税理士事務所までお気軽にお問い合わせください。オンライン面談にも対応しています。

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別案件への適用を保証するものではありません。最終的な判断は、必ず専門家との個別相談のうえで行ってください。

前田泰則のイメージ
所長
前田泰則
化学メーカー勤務中に税理士資格を取得し、独立。中小企業の税務顧問や銀行融資サポート、資金繰り改善の支援を中心に活動。相続診断士としての知見も活かし、「笑顔相続サロン北海道代表」として地域の事業承継・相続問題にも取り組む。また、農業経営コンサルタントとして道内の農業振興にも尽力。
COLUMN

経営コラム

View All
PAGE TOP